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井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 267(8-9), p.1480 - 1483, 2009/03
被引用回数:12 パーセンタイル:62.2(Instruments & Instrumentation)酸化タングステン中に導入される水素量と光学特性の関係を定量的に調べた。反応性スパッタ法により、金属タングステン(200nm)によって表面を被覆した非晶質WO(300nm)膜を作製し、10keVに加速したHイオンを照射した。その結果、膜中に注入された水素濃度は、照射量とともにH/W0.4まで増加することがわかった。水素の導入量がH/W0.1までは、WO膜の吸光係数は水素導入量に比例して約0.3mまで増加したが、それ以上では緩やかに増加し約0.4mで飽和した。このことから、H/W0.1未満の注入量では、WOの吸光度を測定することでWO内部への水素導入量を定量できることがわかった。
永田 晋二*; 笹瀬 雅人*; 高廣 克己*; 土屋 文*; 井上 愛知; 山本 春也; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 267(8-9), p.1514 - 1517, 2009/03
被引用回数:9 パーセンタイル:53.42(Instruments & Instrumentation)Zr基金属ガラスの構造変化及び微細結晶化に及ぼすイオンビーム照射効果について調べた。ZrAlNiCuからなる厚さ2mmの板状試料と薄膜試料に対して、室温のもとMg, P, Au及びBiイオンを100500keVの範囲で、最大210ions/cmまで照射した。X線回折を用いて照射試料の結晶構造を観察した結果、照射による長周期構造変化は見られなかった。Mgイオン照射した試料以外ではTEM観察によってfcc-ZrCuの析出を観察することができた。また、Auイオンを照射した試料ではX線光電子分光法によりAu-Zr又はAu-Cu金属間化合物の形成が認められた。これらの結果から、イオン照射は、金属ガラスの長周期構造にあまり影響を与えないが、金属間化合物の析出を促進させる効果があり、その効果は重イオンであるほど顕著であることが明らかになった。
笹瀬 雅人*; Zhuravlev, A.*; 志村 憲一郎*; 山口 憲司; 山本 博之; 社本 真一; 寺井 隆幸*; 北條 喜一
no journal, ,
受発光素子としての応用が期待される-FeSiの発光特性に及ぼす基板/薄膜界面の微細構造及び組成変化を検討することを目的として、二種の異なる基板上(Si(100), silicon-on-insulator(SOI))に作製した-FeSiについて透過型電子顕微鏡を用いて断面観察を行った。この結果、Si(100)上に生成した-FeSiは生成後の加熱により凝集し、20200nmの粒子となった。この際Si, -FeSiいずれにも明らかな転位や積層欠陥は観測されなかった。一方同様の凝集はSOI基板を用いた場合にも見られ、2030nmの粒子が生成するが、同時にSiO層の極端な膨潤(100500nm)が観測された。このためSOI基板を用いた場合にはSiO上に直接-FeSiが存在し、-FeSi/Si界面は認められなかった。従来まで得られている発光特性との関係から-FeSi/Si界面の存在が発光に大きな影響を与えることが示唆された。
山本 春也; 井上 愛知; 永田 晋二*; 杉本 雅樹; 吉川 正人
no journal, ,
水素が固溶することにより薄緑から濃青色に着色(ガスクロミック着色)する三酸化タングステン膜は、漏洩水素を検知する光学式ガスセンサーへの応用が期待されている。本研究では、三酸化タングステン膜の構造とガスクロミック着色との関連性を調べるため、三種類の異なる構造の三酸化タングステン膜(厚さ: 300nmの非晶質,多結晶、及び単結晶膜)それぞれに、350keVに加速したヘリウムあるいは酸素イオンを照射し、そのときの結晶構造の変化をX線回折法で、着色性能の変化を濃度1%の水素を用いて評価した。その結果、非晶質膜がほかに比べ最も良いガスクロミック着色を示し、イオン照射により多結晶膜が非晶質化するとガスクロミック着色性能が向上した。このことから、イオン照射による酸素欠損等の欠陥形成、さらには非晶質化が着色性能と関連していることが示唆された。